退職理由は会社都合が有利!自己都合との違いを比較してみた!

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退職理由

雇用保険では、受給者の退職理由が「会社都合」「自己都合」かによって、様々な条件が違ってきます。

また、「自己都合」の場合は、それぞれの退職理由によって、さらに細かく条件が異なります。

今回はこの「退職理由による雇用保険の条件の違い」について解説したいと思います。

会社都合と自己都合を比較!

雇用保険では、退職理由が「会社都合」である場合の方が、有利な条件で制度を利用できるようになっています。

「自己都合」の場合と比較するとこんな感じ。

会社都合と自己都合の比較

会社都合・・・倒産や解雇により失業した場合

自己都合1・・・正当な理由がある場合(契約満了で更新されず)

自己都合2・・・正当な理由がある場合(ケガや病気、妊娠など)

自己都合3・・・正当な理由がない場合

退職理由の正当性が少なくなるにつれて、雇用保険の条件も厳しくなっているのがわかると思います。

ここからは、それぞれの退職理由ごとに更に詳しく見ていきましょう。

退職理由が会社都合の場合

「会社都合」による退職とは、倒産や解雇によって失業した場合を指します。
(※ただし、自己責任での重大な理由による解雇は除く。)
雇用保険の受給資格でいうと、「特定受給資格者」になりますね。

退職理由が「会社都合」の場合、雇用保険では特にデメリットはありません。

受給要件

通常、基本手当を受給するためには、退職直前の2年間に12ヶ月以上の雇用保険加入期間が必要です。
この受給の条件のことを「受給要件」といいます。
しかし、退職理由が「会社都合」の場合、この「受給要件」が緩和され、退職直前の1年間に6ヶ月以上あればOKになります。

支給日数

退職理由が「会社都合」の場合、基本手当の「支給日数」も優遇されます。
「自己都合」だと最大で150日間なのに対し、「会社都合」は最大で330日間になります。

給付制限

3ヶ月間の「給付制限」もないので、7日間の待機期間を満了すれば、すぐに給付がスタートします。

健康保険料の軽減

雇用保険の「特定受給資格者」と「特定理由離職者」は、国民健康保険の保険料の軽減措置を受けられます。
健康保険料の軽減措置を適用した場合、前年の所得をその30/100とみなして新たな保険料が計算されます。
退職理由が「会社都合」の場合、受給資格は「特定受給資格者」に該当するので、毎月の健康保険料の支払いを約7割引にできます。

退職理由が自己都合1の場合

「自己都合1」は、「契約期間が満了し、契約の更新を希望したにもかかわらず、契約が更新されなかった場合」を指します。
正当な理由がある自己都合退職のため、雇用保険の受給資格は「特定理由離職者」になります。

退職理由が「自己都合1」の場合、雇用保険でのデメリットはありません。
「会社都合」と全く同じ待遇を受けられます。

退職理由が自己都合2の場合

「自己都合2」は、正当な理由がある自己都合退職で、「自己都合1(契約満了)」以外の場合を指します。
具体的には次のような例が該当します。

・本人のケガや病気が原因で退職した場合
・妊娠、出産、育児等により退職し、雇用保険の受給期間の延長措置を受けた場合
・父親または母親の看護や介護のために退職した場合

こちらも正当な理由があるので、雇用保険の受給資格は「特定理由離職者」になります。

受給要件

退職理由が「自己都合2」の場合、「受給要件」の緩和は適用されません。
雇用保険の基本手当を受給するためには、通常通り退職直前の2年間に12ヶ月以上の雇用保険加入期間が必要になります。

支給日数

退職理由が「自己都合2」の場合、基本手当の「支給日数」の優遇措置も適用されません。
「会社都合」は最大で330日間なのに対し、「自己都合2」の場合は最大で150日間になります。

給付制限

デメリットが目立つ「自己都合2」ですが、「給付制限」はありません。
3ヶ月を待つことなく給付をスタートできます。

健康保険料の軽減

受給資格が「特定理由離職者」になるので、健康保険料の軽減措置も適用されます。

退職理由が自己都合3の場合

「自己都合3」は、自己都合による退職で、正当な理由がない場合を指します。
正当な理由がないため、雇用保険の受給資格は「一般受給資格者」になります。

なお、自己責任での重大な理由による解雇の場合も、この「自己都合3」に該当します。
「重大な問題を起こしたことによる懲戒解雇処分」などが、これにあたりますね。

「自己都合3」にはメリットはなく、デメリットのみになります。

受給要件

「受給要件」の緩和が適用されないので、通常通り退職直前の2年間に12ヶ月以上の雇用保険加入期間が必要になります。

支給日数

「支給日数」の優遇措置もないので、所定給付日数は最大で150日間までになります。

給付制限

「自己都合3」の場合、7日間の待機期間の後に、3ヶ月間の「給付制限」が設けられています。
この「待機期間」は、まだ基本手当は発生しません。
3ヶ月間待って、ようやく給付がスタートすることになります。

健康保険料の軽減

「自己都合3」は雇用保険の受給資格が「一般受給資格者」になるため、健康保険料の軽減措置は適用されません。
軽減措置が適用されるのは、雇用保険の受給資格が「特定受給資格者」か「特定理由離職者」の場合のみとなっています。

受講指示

「給付制限」がある場合、職業訓練の受講指示を受けるための「支給残日数」が、他の退職理由に比べて多く必要になります。

再就職手当

「給付制限」があると、「再就職手当」の支給の条件も少し厳しくなります。
「給付制限」がある受給者が「再就職手当」を受給する場合、待機期間満了後の1ヶ月間は、再就職先が「ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介であること」という条件が付きます。

おわりに

というわけで今回は、退職理由の「会社都合」「自己都合」の条件の違いについて解説させていただきました。

雇用保険では、退職理由の正当性が少なくなるほど、諸々の条件が厳しくなっていきます。

できるだけ多くのメリットが受けられるよう、これらの条件の違いをしっかり理解しておきましょう。