特定受給資格者と特定理由離職者と一般受給資格者の違いは?

暮らし, 保険

雇用保険の受給資格

雇用保険の「受給資格」は、受給者の「離職理由(退職理由)」によって次の3つに分けられます。

・特定受給資格者
・特定理由離職者
・一般受給資格者

どれも似たような名称でややこしいですよね(笑)。

今回はこの3つの「受給資格」の条件の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説したいと思います。

特定受給資格者の条件

離職理由が「会社都合」の場合、あなたの受給資格は「特定受給資格者」になります。

「会社都合」での退職というのは、解雇された場合や、会社が倒産して失業した場合などが該当します。
(※ただし、自己の責任による重大な理由で解雇された場合は除く。)

この「特定受給資格者」は、3つの受給資格の中で最も多くのメリットがあります。

特定受給資格者のメリット

特定受給資格者には次のようなメリットがあります。
(○のマークが付いているものがメリットです。)

○:受給要件の緩和
○:給付日数の優遇
○:給付制限無し
○:健康保険料の軽減

デメリットはありません。

一つずつ見ていきましょう。

受給要件の緩和

通常、雇用保険の基本手当を受給するためには、退職直前の2年間に12ヶ月以上の雇用保険加入期間が必要です。
この、雇用保険を受給するための条件のことを「受給要件」といいます。

しかし、特定受給資格者であればこの条件が緩和され、退職直前の1年間に6ヶ月以上の加入期間があればOKになります。

給付日数の優遇

雇用保険では、受給者の年齢や勤続年数によって給付がもらえる日数が決まります。
この日数のことを「所定給付日数」といいます。

特定受給資格者の場合、他の受給資格に比べて「所定給付日数」が多くなります。

給付制限なし

自己都合で退職した場合、雇用保険では3ヶ月間の「給付制限」という期間が設けられています。
この「給付制限」の期間中は、基本手当が発生しません。

しかし、特定受給資格者には「給付制限」はないので、すぐに給付をスタートすることができます。

健康保険料の軽減

雇用保険の特定受給資格者は、国民健康保険の毎月の支払い(保険料)について軽減措置を受けることができます。

健康保険料の計算方法は各市区町村によって異なりますが、概ね通常の保険料から7割ほど軽減されます。

特定理由離職者①の条件

離職理由が「自己都合」で、やむを得ない正当な理由がある場合、あなたの受給資格は「特定理由離職者」になります。

その中でも、「契約期間が満了し、契約の更新を希望したにもかかわらず、契約が更新されなかった場合」は、「特定理由離職者①」に該当します。

特定理由離職者①のメリット

特定理由離職者には、次のようなメリットがあります。

○:受給要件の緩和
○:給付日数の優遇
○:給付制限無し
○:健康保険料の軽減

ご覧の通り、前述の「特定受給資格者」と全く同じ優遇措置を受けることができます。
デメリットはありません。

特定理由離職者②の条件

離職理由が「自己都合」で、やむを得ない正当な理由があり、「特定理由離職者①」以外の方は、「特定理由離職者②」に該当します。

具体的には次のようなケースが該当します。

・本人のケガや病気が原因で退職した場合
・妊娠、出産、育児等により退職し、雇用保険の受給期間の延長措置を受けた場合
・父親または母親の看護や介護のために退職した場合

特定理由離職者②のメリットとデメリット

特定理由離職者②には、次のようなメリットとデメリットがあります。
(○がメリットで、×がデメリットです。)

×:受給要件の緩和無し
×:給付日数の優遇無し
○:給付制限無し
○:健康保険料の軽減

特定理由離職者②の場合、「受給要件の緩和」「給付日数の優遇」の措置は受けられません。

一つずつ見ていきましょう。

受給要件の緩和は無し!

特定理由離職者②の場合、受給要件の緩和措置は適用されません。

このため、雇用保険の基本手当を受給するためには、退職直前の2年間に12ヶ月以上の雇用保険加入期間が必要になります。

給付日数の優遇も無し!

特定理由離職者②の場合、給付日数の優遇措置も適用されません。

「特定受給資格者」や「特定理由離職者①」の場合、給付日数が最大で330日になるのに対し、「特定理由離職者②」は最大で150日になってしまいます。

給付制限は無し

デメリットが目立つ特定理由離職者②ですが、「給付制限」はありません。

なので、3ヶ月を待たずに給付をスタートすることができます。

健康保険料の軽減

国民健康保険の保険料軽減措置は、「特定受給資格者」と「特定理由離職者」に適用されるので、この「特定理由離職者②」にも適用されます。

月々の保険料支払いも、少なく済ませられます。

一般受給資格者の条件

離職理由が「自己都合」で、正当な理由がない場合、あなたの受給資格は「一般受給資格者」になります。

「特定受給資格者」でも「特定理由離職者①②」でもない場合になりますね。

また、会社から解雇された場合であっても、自己の責任による重大な理由での解雇の場合は、この「一般受給資格」に該当します。
懲戒解雇処分などが、これにあたりますね。

一般受給資格者のデメリット

一般受給資格者には、次のようなデメリットがあります。
(×がデメリットです。)

×:受給要件の緩和無し
×:給付日数の優遇無し
×:給付制限有り
×:健康保険料の軽減無し

デメリットのみですね。
正当な理由がない自己都合退職のため、他の受給資格と比べてメリットが全くありません。

一つずつ見ていきましょう。

受給要件の緩和は無し!

一般受給資格者には、受給要件の緩和措置は適用されません。

このため、雇用保険の基本手当を受給するためには、退職直前の2年間に12ヶ月以上の雇用保険加入期間が必要になります。

給付日数の優遇も無し!

一般受給資格者の場合、給付日数の優遇措置も適用されません。

「特定受給資格者」や「特定理由離職者①」の給付日数が最大で330日であるのに対し、「一般受給資格者」の給付日数は最大で150日になってしまいます。

給付制限有り!

一般受給資格者が雇用保険の基本手当を受給する場合、3ヶ月間の「給付制限」という期間が設けられています。

「給付制限」の期間中は、まだ基本手当が発生しません。
3ヶ月待って、ようやく給付がスタートすることになります。

健康保険料の軽減も無し!

健康保険料の軽減措置が適用されるのは、「特定受給資格者」と「特定理由離職者」のみです。

よって「一般受給資格者」は保険料が軽減されず、正規の金額を支払うことになります。

おわりに

というわけで今回は、「特定受給資格者」「特定理由離職者」「一般受給資格者」の違いについて解説させていただきました。

この3つの「受給資格」は似たような字づらをしていて、非常にややこしいですよね
しかし、それぞれのメリットやデメリット、そして受給できる金額などは大きく異なっています。

できるだけ多くのメリットを享受できるよう、これらの違いをしっかり理解しておきましょう。