地域おこし協力隊の転出地と転入地 田舎に住んでる人はなれないの?

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地域おこし協力隊の転出地

地域おこし協力隊の制度には、都会から地方に移住してもらい、地方の過疎化・人口減少を食い止める狙いがあります。
このため、隊員の転入地(赴任先)について非常に細かい条件が設けられています。

そこで今回は、地域おこし協力隊の「転出地」と「転入地」について解説したいと思います。

田舎に住んでいる人はなれないの?

地域おこし協力隊の転入地(赴任先)の条件を簡単にいってしまうと、「今住んでいる所より、もっと田舎に行くこと」ということになります。

それはそうですね。
協力隊員として田舎から都会に行けてしまったら、その田舎はさらに人口が減ってしまうわけですから。

なので、すでに田舎に住んでいる場合、もっと田舎の地域であれば協力隊員として赴くことができます。

もうちょっと詳しくいうと、「地域おこし協力隊として田舎から都会に住民票を移した場合は、特別交付税が交付されない」という決まりになっているんです。

特別交付税とは

地域おこし協力隊を受け入れた自治体には、隊員1人あたりに対し400万円を上限とした「特別交付税」が、国から交付されます。
協力隊員の給料は、この特別交付税の中から支払われます。

ですが前述の通り、今住んでいる地域よりも都会に行った場合、特別交付税は交付されません。
これでは協力隊員は無報酬になってしまいます。
このため、地域おこし協力隊では今いる地域よりも田舎に行く必要があるのです。

転出地と転入地

地域おこし協力隊では日本の市区町村を、次の6つの地域に分類して考えます。

・3大都市圏内 都市地域
・3大都市圏内 一部条件不利地域
・3大都市圏内 全部条件不利地域

・3大都市圏外 都市地域
・3大都市圏外 一部条件不利地域
・3大都市圏外 全部条件不利地域

3大都市圏

「3大都市圏」というのは、
埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県の、11都府県のことを指します。

この11都府県は「3大都市圏内」、それ以外は「3大都市圏外」となります。

条件不利地域

「条件不利地域」というのは、次の7つの法令の対象になっている地域を含んでいる市区町村のことです。

①過疎地域自立促進特別措置法
②山村振興法
③離島振興法
④半島振興法
⑤奄美群島振興開発特別措置法
⑥小笠原諸島振興開発特別措置法
⑦沖縄振興特別措置法

つまり条件不利地域というのは、早い話「田舎」ということですね。

その市区町村の中に条件不利地域が含まれている場合は、「一部条件不利地域」(まあまあ田舎)になります。
その市区町村内の全ての地域が条件不利地域の場合は、「全部条件不利地域」(すごく田舎)になります。

条件不利地域以外の地域は「都市地域」になります。

ここで長野県長野市を例に見てみましょう。

長野県は前述の11都府県に含まれていないので、まずは「3大都市圏外」になります。

そして長野市内の地域の内、旧大岡村、旧戸隠村、旧鬼無里村、旧信州新町、旧中条村の、5つの区域は、①の「過疎地域自立促進特別措置法」の対象となっています。
また、旧豊栄村、大岡村、戸隠村、鬼無里村は、②の「山村振興法」の対象となっています。

よって長野県長野市は「3大都市圏外 一部条件不利地域」ということになります。

条件不利区域と条件不利区域外

この長野県長野市を例に、さらに詳しく見てみましょう。

地域おこし協力隊の転出地・転入地では、上記の7つの法令の対象となっている該当地域を、「一部条件不利地域」の中でも特に「条件不利区域」として分類します。

例えば、過疎地域自立促進特別措置法や山村振興法の対象となっている「長野県長野市戸隠」は、「3大都市圏外 一部条件不利地域 条件不利区域」となります。

過疎地とそうでない地域が混在する「一部条件不利地域」である長野市の中でも特に、「戸隠」は過疎地に該当する区域であるということですね。

一方、長野駅前のビルが立ち並ぶ「長野県長野市南千歳」の場合は、「3大都市圏外 一部条件不利地域 条件不利区域外」となります。

過疎地とそうでない地域が混在する「一部条件不利地域」である長野市の中にあるけれど、「南千歳」は過疎地ではない区域ということになります。

地域要件確認表の見方

特別交付税が出るかどうかは、総務省の「特別交付税措置に係る地域要件確認表」で確認することができます。

特別交付税措置に係る地域要件確認表

例として、長野県長野市の地域おこし協力隊に応募する場合を見てみましょう。

表の右側の「○」や「△」などの記号は、長野市の協力隊に応募する場合に、どこから引っ越してくれば特別交付税が出るかを表しています。

「○」の場合は、無条件で特別交付税措置が受けられます。
長野市の場合、「3大都市圏内の都市地域」からの応募であれば、問題なく特別交付税が出ます。

「×」の場合は、特別交付税措置は受けられません。
長野市の場合、「全部条件不利地域」(すごく田舎)から、「一部条件不利地域」である長野市(まあまあ田舎)に来ても、お金は出ないよ、ということになります。

「▲」の場合は、「条件不利区域」への転入であれば特別交付税措置が受けられます。
長野市の場合、「3大都市圏外の都市地域」から、戸隠村や鬼無里村といった「条件不利区域」への転入であれば、お金が出るよ、ということになります。

「△」の場合は、隊員の転出地(もともと住んでいた所)が、「条件不利区域外」であれば特別交付税措置が受けられます。
もともと住んでいた所が、戸隠村や鬼無里村のように、「過疎地域自立促進特別措置法」や「山村振興法」の対象になっているような場合は、長野市に引っ越してきてもお金は出ません。
もともと住んでいた所が「条件不利区域外」の所であれば、長野市のどの地域に引っ越してきてもOKです。

「□」の場合は、隊員の転出地が「条件不利区域外」で、さらに転入地が「条件不利区域」である場合に限り、特別交付税措置が受けられます。

政令指定都市

ちなみに表の中に「指定都市」という項目がありますね。
これは「政令指定都市」のことを指します。
地域おこし協力隊では、政令指定都市は次のように分類されます。

【3大都市圏内 都市地域】
さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、名古屋市、大阪市、堺市、神戸市
【3大都市圏内 条件不利地域】
京都市、相模原市
【3大都市圏外 都市地域】
札幌市、熊本市
【3大都市圏外 条件不利地域】
仙台市、新潟市、静岡市、浜松市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市

まとめ

「もともと田舎に住んでいると協力隊にはなれない」なんて聞くかも知れませんが、そんなことはありません。
「もっと田舎の地域のみ」という条件は付きますが、行ける地域って結構あるものですよ。
諦めずに探してみて下さい。

というわけで今回は、地域おこし協力隊の「転出地」と「転入地」について解説させて頂きました。
それではまた~♪