晴れているのに寒い!雲がない時の方が冷え込む放射冷却現象とは

気象・気候, 自然

晴れているのに寒い日の空

「雲ひとつない、よく晴れた天気なのに寒い!」なんてとき、ありますよね。
あれは「放射冷却」という現象によって、気温が下がっているんです。

今回はこの「放射冷却現象」について、解説したいと思います。

放射冷却現象とは?

放射冷却現象

放射冷却現象というのは、地面から熱が放出されて、気温が下がる現象のことです。

私たちのいる地球は、太陽の光を受けることで暖められています。
しかしそれと同時に、暖められて得られた熱は、地表面から宇宙に向けて放出されています。

この地面からの熱の放出により冷え込む現象を放射冷却現象といいます。

ただ放射冷却の現象自体は、何も天気に限った話ではなく、私たちにとって非常に身近な現象です。

例えば、熱したフライパンをコンロから離しておくと、次第に冷めていきますよね。
これは、フライパンから空気中や接しているテーブルなどに向けて、熱が放出されて冷めたわけです。

あるいは、自分の手と手を近付けてみましょう。
2~3cm位まで近付けると、触っていないのに手の温かさが伝わってきますよね。
これは手から熱が放射されているのを感じているわけです。

雲がないときの方が寒いのはなぜ?

雲ひとつない青空

では雲がないときの方が寒いのはなぜでしょうか?

地面と宇宙の間に雲があると、地表から放射された熱の一部が雲に吸収されます。
すると今度は、暖められた雲からも熱が放出され、放出された熱が大気や地表面を暖めます。

つまり、雲は地表の熱を宇宙に逃がさないようにする、掛け布団のような役割を果たしているわけです。

雲ひとつない晴れた青空の日は、地面の熱が宇宙に逃げたい放題になってしまいます。
このため晴れているときの方が、冷え込みが厳しくなるわけですね。

空気が乾いているときも寒い

雲がないときの他に、空気が乾いているときも放射冷却の影響が顕著になります。

空気中の水分、つまり水蒸気は、雲と同じように地表面の熱を吸収して、宇宙に逃がさないようにする役割があります。
このため空気が乾いて水蒸気が少ないときは、放射冷却により冷え込みが厳しくなります。

風がないときも寒くなる

風の少ない日

また、風がないときも放射冷却の影響が強まります。

放射冷却は、地表から宇宙に向けて熱が放出される現象です。
つまり放射冷却現象が起こっているときは、地表付近の空気は冷たくなり、上空に行くほど(宇宙に近づくほど)空気は暖かくなるわけです。

風が強いと、地表付近の冷たい空気と上空の暖かい空気が混ざり合い、冷え込みを緩和してくれます。
このため風がないときも、放射冷却による冷え込みが厳しくなります。

まとめ

というわけで今回は、「放射冷却現象」について、解説させて頂きました。

放射冷却現象は秋から冬にかけてよく耳にしますが、実は一年中起こっている現象です。
夏はさすがに大丈夫かもしれませんが、春先によく晴れたときなどは、放射冷却により思った以上に冷え込みます。
晴れているからと油断せず、少し厚着をしたり、1枚多く羽織ったりするようにしましょう。

それではまた~♪